ゼミ生の飛び込み授業

ゼミ生の飛び込み授業・事後研修のガイドライン(短縮url http://goo.gl/2eOoxS)

 

 私に講演・事後研修を求める、飛び込み授業を願う場合は、ガイドライン通りの金額が必要です。しかし、ゼミ生が代わりに担当することも可能です。その場合は、旅費・宿泊費(宿泊が必要な場合)の実費で可能です。

 

純粋な『学び合い』を実践しており、クラスは成立しているけど、誰でも実践できることを、他教科でも実践できることを周りの方に伝えたい方の場合、学部学生もしくは学卒院生(1年)が担当します。実践されているクラスで飛び込み授業をします。詳細は実践者と調整します。

 

 その他の方の場合は3つの条件を満たして下さい。

1)       最も大変なクラス・学年でやらせてほしい。

2)       2時間続きでやらせてほしい

3)  3学年以上で構成される異学年の合同『学び合い』でやらせて欲しい。(学陽書房の『学び合い』ジャンプアップを参照下さい)

 

 おそらく、「?」と思います。何故なら、普通、飛び込み授業を依頼する場合、学校は一番安心できるクラスで授業してもらおうと思います。ところが真逆なことを求めているのです。そして、その大変なクラスを2時間続きというのは、その学校の先生も大変だと思うことです。ましてや手のかかる異学年学習でやりたいと言えば、わざと苦労を背負い込んでいるように思われます。さらに教科は何でもいいといえば意味不明でしょうね。しかし、実はこれは手品の種なのです。これだけで、必ず魔法のようにクラスを変えることが出来ます。タネを教えます。

 

 何故、最も大変なクラス・学年でやることを求めるのでしょうか?やりやすいクラスでやって成功しても「あのクラスだから」と言われるに決まっています。だれもが大変と思うようなクラスで成果を出すからこそ評価されます。それに大変なクラスほど楽なのです。これには少し説明が必要です。

 その学校の先生が大変と思うのは、そのクラスに手のかかる子が5、6人はいるからです。普通の先生は、その子たちをモグラたたきのように追い回しています。それを見ていて、周りの子がしらけてしまう。実は手のかかる子が、何故、手がかかるかと言えば、彼らがイライラしているからです。そして、イライラしているのは、教師の手立てが足りないからでは無く、多すぎるからです。だから、『学び合い』では子どもはイライラしません。その子たちに「静かにしなさい、黙りなさい」と言うのと、「相談しても良いよ、立ち歩いても良いよ、でも、全員達成しよう」と言うのはどちらがたやすいでしょうか?明らかに後者です。

 従って、大変なクラスにしている原因は、何かの指導が足りないのではなく、手のかかる子どもをイライラさせる指導が多すぎるからです。『学び合い』ではそのような指導をしないので「まし」になります。

 もう一つあります。そのクラスが授業が成立していない原因が、手のかかる子どもではなく、授業を真面目に受けている成績上位層の子どもであることが少なくないのです。というより、半数以上はそれが原因です。その子どもたちが教師を馬鹿にした結果、クラスの中間層の子どもが教師を馬鹿にします。つまり、クラスの大部分の子どもが教師を馬鹿にするため、手のかかる子どもが傍若無人になれるのです。ところが成績上位の子どもは馬鹿にしていることを表に出さないので見えにくいのです。これが学級崩壊の真の姿です。学級崩壊しているクラスには、大人を手玉にとれるレベルの子どもは3人ぐらいいます。

 その子どもたちに、ちゃんと話せば直ぐに理解します。その子達が変われば、中間層は変わり、手のかかる子どもを押さえます。手のかかる子どもは教師から何を言われても気にしませんが、クラスのみんなから嫌われるのは恐れるので、落ち着きます。だから、その3人を納得させれば、もの凄く良いクラスになるのです。だから、学級崩壊しているクラスで授業したいのです。

 ましてや見ず知らずの人が授業をしているとなると、クラス中の子どもはお手並み拝見でじっと様子見をします。5分以内で「はい、どうぞ」となれば、手のかかる子どもが逸脱行動が出る前に子ども集団にゆだねてしまっているのです。逆に、5分以上だらだらと話すならば、その子たちを5分以上聞かせる話術が必要となるのです。

 ただし、教師の中には子どもがどのように変容したかを見るのでは無く、教師が何を言ったか板書したかでしか見られない人もいます。そのため事前に、「子どもたちが1校時、学習が継続していることに着目してください」と伝えておきます。

 

 何故、2時間続きの授業を求めるのでしょうか?1時間の授業でも子どもを見られる人はビックリします。だって、普通だったら手のつけられない子どもが、1校時、勉強し続けるのですから。でも、「さあ、どうぞ」で現れる子どもの姿は、休み時間に見られるそのクラスの「地」です。ということは、そのクラスの元々持っている問題が非常に分かりやすく出ます。そのため、1時間だけの授業を見る人の中には、『学び合い』によって生じたと誤解してしまうのです。

 実践されている方ならばおわかりの通り、『学び合い』のコアは説教です。人としてのありように対する語りなのです。1校時目の最後と、2校時目の最初にそれを語ります。そうすればクラスの2割の子どもがそれに応えてくれます。具体的には、遊んでいる子のそばによって注意したり、一緒に勉強したりし始めます。そうすれば1校時目とはものすごく変わります。今まで自分一人の力でクラスを何とかしようと思っていた先生にとっては、その姿は劇的です。もともと、そのクラスの先生の言うことを聞かない子たちに、教師が注意するのですから効果はないのは当然です。ところが、『学び合い』ではクラスメートが注意するので、それよりはかなり「まし」になります。

 おそらく2時間で修正できない部分はあるはずです。例えば、2時間目でも遊んでいる子や丸写しをしている子は残っていると思います。しかし1時間目に比べてその数が激減していることを見れば、継続すれば変化する可能性を感じてもらえることが出来るでしょう。

 

 何故、異学年学習を提案するのでしょうか?先生方は異学年学習が大変だと思っています。何故なら、教師一人の指示を徹底させるには、集団が均質で少数の方が楽です。ところが『学び合い』では自律的な集団を形成します。その場合は多様で多数の方が楽です。これは部活指導に置き換えれば自明だと思います。

 ある学年では誰も口を出せない子どもがいたとしても、年長者には素直に従う可能性があります。また、彼らが反発しているのは教師であって子どもではありません。少なくとも年少者に対しては優しい可能性が高い。従って、若年者と共に学習すれば優しい姿を出します。従って、異学年学習が望ましいのです。

 学年は3学年以上が望ましいです。しかし、中学校の場合高校入試を控えた3年生が合同学習に参加することを学年の先生は反対する可能性が高いです。その場合は、「○○のための特別活動を教科指導の時間をつぶさずにやっている」(「○○」は集団づくりとか人間関係づくりのようなその学校の課題を入れて下さい。)その学校の課題としていると説明して下さい。それでもダメだった場合は2学年でも結構です。それでダメだったとしても、同学年の複数学級での合同『学び合い』を提案して下さい。繰り返しますが、『学び合い』は多様で多数の方が楽に成立します。

 

 おそらく、「当日の課題はどうしたらいいのでしょうか?」とその学校の先生から問い合わせが来ると思います。『学び合い』の課題はどれだけでも深めることは可能ですが、課題作りに時間をかければ、課題によって『学び合い』の善し悪しが決まると思ってしまいます。しかし、本質的には語りの方が大事で、課題は重要ではありません。だから、あえて事前にその学校の先生に「単元はどこでしょうか?」のように聞きません。ただ、普通通りの進度で進んだ前の日の次の課題をやります」と伝えて下さい。では、当日どうするか。

 算数・数学だったら「見開き2ページの問題を全部解く」にしてください。そして、その部分で一番大事だと思う問題を一つ選び、「その解き方が、全員が分かる説明を考える。友達に説明して分かってもらったらサインをもらう。分かってもらえなければ、どこがわかりにくいかを聞いて説明を改良し、分かってもらったらサインをもらう。全員が3人の人のサインをもらう」とすれば良いのです。

 他教科の場合は、単元テストで対応する問題を選び、それを解かせてください。そして、上記と同じように、サイン課題を求めるのです。ま、その他、すでに実践している方であれば自分のやりやすいようにやれば良いのです。なお、中学校の場合はその学校で子どもたちに買わせている問題集から問題を選んで下さい。

 問題の量は、小学校中学年・高学年の場合はそのクラスの成績上位2割の子が12分ぐらいで解ける分量です。中学校の場合は成績上位の子どもが15分ぐらいで解ける分量です。小学校低学年は「書く」ということが極端に遅い子がいます。従って、だいたい成績上位の子どもは10分程度で解ける分量です。算数・数学の場合はほぼ見開き2ページの問題に一致するはずです。

 一クラスを教える場合には上記のままで良いですが、複数の学年やクラスの合同『学び合い』の場合は時間的制約があるので、事前に作成する必要がある場合があります。

 その学校の先生方に課題づくりを手ほどきする場合は、先に述べたように「そのときに自分が授業することを思い出して、1時間で教えたい内容を子どもに分かるように表現してください。ただし、課題のレベルはそのままで良いですので、量には注意してください。先生のクラスの一番成績の良い子ども5人程度は十二三分で解ける程度にしてください。おそらく、それが日常の授業でやっている量と一致すると思います」と求めるのです。そして、イメージしやすくするために「自習課題だと思ってください」と伝えます。

 ただし、『学び合い』が分かってない人は、課題になっていない課題を作るはずです。そこでメール等のやりとりが必要です。例えば、「○ページから○ページの内容をまとめる」のような課題を出します。以降のやりとりは以下の通りです。

 

私:すみませんが、大学を出た私ですら、何を書けばいいのか分かりません。この課題が出来たか出来ないかを、先生は何によって判断しているのですか?

出題者:う~ん・・

私:先生には先生なりの判断基準があると思います。それを明らかにしましょう。当たり前ですが「とても楽しかった」と書いて終わりならばダメですよね?

出題者:それはもちろんです。

私:それは何故ですか?

出題者:う~ん・・

私:では、絶対に入っていないといけないキーワードは何ですか?

出題者:う~ん・・・・・ABCは入っていなければならないですね。

私:では、先生の考える正しいまとめを先生が書いていただけませんか?

出題者:(正答例を書く)

私:文字数を数えると200文字ぐらいですね。そうだとすると、1.5倍の300文字ぐらいにまとめさせるという課題でいいですよね。文字数が無制限だと、延々と書く子どもはいますから。

出題者:うなずく

私:では、先生の課題とは「○ページから○ページの内容を、ABCという言葉を使って300文字以内にまとめる。」という課題になります。これでいいですよね?

 

 面と合っている場合だと以上のようですが、メールのやりとりでやる場合はもっと手間がかかります。一斉指導に慣れている先生は、授業の流し方はよく知っているのですが、自分が何を求めているかをハッキリさせる経験がほとんどありません。そのため上記のようなやりとりが必要なのです。

 なお、もう一つの注意は、分量の加減が分からないのです。何度も、成績上位の5人程度が何分で出来るかを確認して下さい。教師自らが解いても三十分以上もかかる分量を、15分で出来ると言い張る先生もおられます。

 

 課題が出来上がったら、その課題を事前に子どもたちに公開して下さい。そして、「先生は予習してはいけないとは言いませんよ」と満面の笑みをたたえて言って下さい。きっと心優しい子どもが予習するでしょう。数人でいいのです。1時間目にそのような行動が見られたら褒めてあげて下さい。そうすればまねる子は増えます。

 

以上が手品のタネです。

 

 なお、同じ学校の先生の飛び込み授業だったら、その先生が出張の時、そのクラスと合同『学び合い』をすればいいのです。ちなみに教科を統一する必要性はありません。どのようにするかは子どもたちが教えてくれます。

 また、出張の際、自習監督になってください。その日の自習課題を使って『学び合い』をやれば良いのです。簡単です。「全員達成すること」と求めたとたんに『学び合い』になります。時間があればマグネットシートでネームプレートを作りましょう。時間がなかったらそのクラスの名表を貼りだし、出来た人がチェックするのです。

 以上をやれば、初回からビックリするほどの姿を見せてくれます。おそらく魔法のようにしか見えません。

 

 なお、実施上の注意をまとめます。

1)       学校に特別活動や道徳教育にしたいと言われたら、是非、教科学習でやりたいと強く求めること。特別活動や道徳教育は課題が達成したか、いないかが曖昧です。そのため集団をリードする子どもが手を抜いてしまいます。教科学習で集団を作った後に、特別活動や道徳が意味あるものになります。

2)       子どもたちには飛び込み授業があることを前日以上前に伝えることをお願いして下さい。そして、自己紹介は自分でやるので、時間の最初から最後まで任せて欲しいことをお願いして下さい。『学び合い』は時間が長くなればなるほど質が高まります。

3)       最初の挨拶と終わりの挨拶の仕方を聞いていないと、手間を取り時間の無駄です。

4)       課題を黒板に書き、子どもがノートに書くとそれだけで5分ぐらいのロスになります。課題は模造紙に書いておき、張って下さい。また、子どもたちに課題を書く紙を配布し、その紙に書くように求めて下さい。なお、教師が配布するとそれだけで2分ぐらいのロスになります。机を置いておき、その上にプリントをおいて下さい。そして、各自が持って行くようにして下さい。

5)       ネームプレートを用意します。もし、そのクラスでネームプレートを使っている場合はそれを流用すること。裏表のないネームプレートの場合は、黒板の一方に貼り、他方に「出来た」と書いた大きな○を書いておくこと。

 

 具体的な準備、語りは以下の通りです。

 

 黒板に課題を張り出す(出来れば授業前に貼る)。ネームプレートを用意する。「出来た」と書いた大きな丸を書く。答えを裏返して貼る(移動用黒板の場合は、裏側に貼る)。教卓の上に子ども用のプリントを置く(体育館の場合は机を用意し、各クラス名をつけ、そこに置く)。

 

 語り例

 

 自己紹介をごく簡単に、最後に今日は楽しみにしていることを30秒程度。

 平常のやり方で号令係を指名し、号令する。

 おそらく、異常な環境なのでみんな様子見になっている。そこで、直ぐに授業に向かおうとしている姿を褒め、それこそが頭の良さを示していると語る。逆に、頭の切り替えが出来ない人が頭の悪い人であると語る。大変なクラスであればあるほど、褒められた経験が少ないので、褒めれば授業者に対して好感を持つ。その授業者が頭の切り替えの出来ない人が頭の悪い人であることを言えば、それが刷り込まれる。

 続いて、大人になってから必要なのは仲間を持てる能力であることを述べる。そしてこの時間は勉強の時間で学ぶ時間であることを述べる。そして一番大事なのは一人も見捨ててはいけないことを述べる。「一人見捨てるクラスは、二人目も見捨てる、三人目も見捨てる、四人目は自分かもしれない、だから絶対に一人も見捨ててはいけない」と述べる。ポイントは3分ぐらいで終わらせること。長く話せば話すほど、問題の子がだれ始めるという時限爆弾が爆発することを理解すること。

 その中に、『学び合い』のルールである、立ち歩きや相談はOKであること、出来た人はネームプレートを移動し、周りの人に教えること。分からないことがあったら聞きに行ってもいいことを伝えて下さい。そして、答えを見てもいいことを伝えて下さい。答えから何故そうなのかを理解すればいいことを伝えるのです。

 その代わりに、忘れがちな以下を忘れずに。

 「終了時間は○分(授業終了前5分に設定)です。その時間になったら言われなくても、席に戻って聞く体制を整えて下さい。頭のいい君たちだったらそれが出来るよね?第一、集まりが遅くなれば休み時間は短くなるよ。」と確認して「はい、どうぞ」。

 はい、どうぞ、の後に出てくる姿は、その子たちの休み時間の姿です。色々な問題が出るでしょうが、膿をわざと出していると理解すること。ダメなところではなく、クラスをリードする子は誰かを見いだし、その子を褒めまくる。表情は笑顔。

 なお、立ち歩かない場合は、再度立ち歩いてもいいことを述べる。分からなければ答えを見てもいいことを述べる。大事なのは全員が本当に分かることであることを述べる。

 

 授業中の見取りの仕方、声がけの仕方は書籍に書いてあるとおりです。しかし、おそらく緊張しているのでそれが十分に出来ないと思います。「さあどうぞ」以降で守るべきポイントを限ると以下の通りです。

 第一に、笑顔です。怖い顔をしてはいけません。

 第二に、黒板に寄っかかりながらクラス全員を俯瞰して下さい。おそらく近づきたいと思います。しかし、近づけば全体を見とれなくなり、大事なポイントとなるものが見えなくなります。

 第三に、最初は様子見で立ち歩かないと思います。その場合は、再度立ち歩いていいことを述べます。また、答えが分からないならば、教師が用意した回答を見てもいいことを述べ、「本当に分かることが大事なんだ、答えから何を求めているかを理解し、本当に理解しよう。それに自分が正解だと分かれば自信を持って教えられる」と言って下さい。おそらく、きょろきょろする子がいたりします。そうしたら、その子の方を向いて「いいんだよ」と満面の笑顔でうなずいて下さい。また、近くの人と相談したら、それを褒めて下さい。そして「立ち歩いて相談に行っても、教えてもいいんだよ」と言って下さい。

 第四に、ある程度動きが始まったとき、手が止まっている子を見つけて下さい。クラス全体を見られる位置にいないと見とれません。いたらば「全体を見回し出来ない子がいないか探すことが大事だよ」と言って下さい。それに応えた子がいたら褒めましょう。

 第五に、上記の褒める場合には、教える子だけではなく、教えられる子も褒めましょう。たとえ、教えられている子が不真面目だとしてもです。

 第六に、遊んでいる子がいたら、その子を見ずに「集中力が切れている子がいる、全員達成をするためには何が必要かな?」と言って下さい。

 第七に、担任の動きを見ていれば、どの子が気になるかが分かります。そうしたら、その子の近くによって本当に分かっているかいないかを確認しましょう。間違っていたら、自分では教えずに「う~ん、変だな~」とか「答えは合っているけど、解き方が・・・」と大きめにつぶやいて下さい。応えてくれた子がいたら褒めましょう。

 第八に、時間はきっちり守りましょう。たとえ、もう少しで解ける子がいたとしても。10分前、5分前、1分前に、時間予告をする。

 時間になったら教卓の前に立ち、黙っている。そうすれば徐々に席に戻る。その際、「時間だから席に着きなさい」を言わない。言わなくても、休み時間が短くなることを知っているので、席に戻る。

 そこで「先生は何も言わなかったけど、席に戻れた、君たちはやはり凄い」と褒める。これで子どもたちは気分が良くなる。その上で、頑張った子どもたちの姿を褒める。そして、集団の中にあった問題を語る。そして「遊んでいた子は問題だ。しかし、それを知っていたのに、そのままにしておいた君たちに問題はなかったか?この時間は仲間を作る能力を得る時間で、そこで大事なのは一人も見捨てないということだ」と語って下さい。おそらくシーンとなると思います。そこで号令。

 

 2時間目の最初には「君たちだったら出来る」といってにっこりして下さい。ゴチャゴチャ言わずに「さあ、どうぞ」。あとは、『学び合い』のダメな子どもに目を奪われず、いい子を褒めましょう。注意するのは授業のまとめにすればいいのです。

 おそらく、1時間目より遙かに良くなっているはずです。

 終わり方は同じで、10分前、5分前、1分前に、時間予告をする。

 時間になったら教卓の前に立ち、黙っている。

 徹底的に褒め、これ以上に成長できることを語り、終わり。

 

課題の作り方、子どもの見取り方、言葉がけの仕方は私のに書いてあるとおりです。ただ、そのようなテクニックがなくとも上記を守っていれば大丈夫です。なお、安全策のために、参観者には以下のような資料(A4の両面づり)を配付することを勧めます。

 なお、私がこの種の飛び込み授業を受けるときは、2時間の授業の前に全校対象の講演会を入れることを求めています。これは『学び合い』は何かを子どもの中にしみ入れる意味がありますが、それ以上に先生方に聞かせたいと思っているのです。

 具体的な映像(後半の映像をご覧下さい)をご覧いただくとイメージがわきます。

 

参観の手引き

 

本日は参観有り難うございました。この授業は学力の向上と、安心できるクラスづくりを同時に実現しようとしています。以下のことを心にとめてご参観いただければと思います。

第一に、クラスの「全員」が楽しそうにしていることです。これは分かりやすいと思います。

第二に、子どもたちのそばによって、子どもたちの会話を聞いて下さい。楽しそうにしているので無駄話をしているように見えて、勉強のことを話していると思います。近づくと子どもたちが構えるのではないかと思われるかもしれませんが、近づいても気にしないと思います。彼らは勉強に集中していますし、なによりも、自分たちに自信を持っています。

第三に、どの子どもでも結構です。この授業に関しての質問をしてください。子どもたちはちゃんと応えられるはずです。

第四に、時間がたっても勉強に集中し続けているはずです。

第五に、「みんな」が出来るために、子どもたちが頭を使って行動している姿を見出して下さい。

最後にお願いです。子どもたちが分からなったり、間違った答えをノートに書いていたりしたとしても教えないで下さい。この授業では、学習を通してクラスづくりをしています。我々が教えてしまえば、それっきりになってしまいます。その代わりに「え~?おかしいな?」とちょっと大きめの声でつぶやいて下さい。周りの子が教えてくれるはずです。

 

                                                     疑問にお応えします

 この授業を参観して、様々な疑問をお持ちだと思います。代表的なものにお応えします。

 

●子どもだけで大丈夫?

 現代の日本は塾・予備校・通信教材が発達しています。そのため、学校の勉強する程度のことは既に学習済みの子どもは2割以上います。その子達は、自分の力をもてあまして1校時を過ごしています。それだったら、その力を使って説明すれば、より深く理解することが出来ます。

 自分が子どもの頃を思い出して下さい。先生の言うことが分からないこともあったと思います。そのようなとき、分かるためには膨大な対話が必要なのです。ところが数十人の子どもたちに一人の教師は出来ません。しかし、先に述べた2割の子どもたち(6、7人)が、対話を通して説明してくれます。

 

●何でこんな教育をしているの?

 子どもたちが本当に獲得すべき能力は何でしょうか?それは大人も子どもも同じで、他人と協働する能力です。仕事や夫婦での関係に置き換えれば当然だと思います。子どもも同じです。

 ある小学校で『学び合い』を経験した子どもが、『学び合い』を実践していない中学校に進学しました。その学校には3つの小学校の子どもが進学しましたが、成績上位者は『学び合い』を経験した子どもたちが殆どでした。アンケートをしたところ、「男女関係なく分からないことがあったら聞けるから」というものでした。例えばです。女子は中学校で真面目に勉強します。男子が勉強を分かるか否かは、その女子に教えてもらえるか否かがポイントです。小学校高学年以上になると女子の小グループ化が始まります。そこに空気の読めない男子が入り込むとその関係が和みます。この様なことが自然に出来るのです。

 そのようなことを、日々の授業で学ぶことが出来るのです。

 

●先生は何をしているの?

 『学び合い』において教師がやっていることは、あまりにもさりげないので、あたかも何もやっていないように誤解されます。しかし、教育は遊びではありません。このような授業が成り立つためには、教師が「子どもたちを見取る能力」、「子どもたちを動かす能力」を十分に持っていなければなりません。その詳細をお知りになりたい場合は、「クラスがうまくいく!『学び合い』ステップアップ」、「クラスが元気になる『学び合い』スタートブック」(いずれも学陽書房)をご参照下さい。